インドネタまとめ

『インドのゲーム市場、成長加速へ』にみる数字の見方/Indian Game Industry


先月インドのデリーでゲームショーがありました。

それを受けて、SankeiBizという産経系列のウェブメディアが記事をあげています。*下記画像をクリックすると記事に飛びます。

この記事によると

携帯端末を使用するゲームの人口が15年の1億9800万人から20年には6億人、30年には12億人に急増すると予想。これに伴い、市場規模は16年の2億6580万ドルから17年に2億8620万ドル、22年に4億ドルに拡大するとした。

 

とあります。これの元ネタはインド工業連盟(CII)と地場調査会社テックサイ・リサーチが行った調査の報告書から引用されています。見てみましょう。

 

1、モバイルインターネットユーザー数

下記はインドのモバイルインターネットユーザーの数字です。2015年の段階で約2.2億人、2020年で約4.2億人、2030年で8.4億人と予想されています。人口が現状でも12億人いて2030年にはもっと増えるので、8.4億人がインターネットに接続できるSIMを持っていても不思議ではないと思います。ただこれは、インターネットに接続可能なSIMを保有しているだけで、必ずしも全員がインターネットにアクセスしている数字というわけではありません。

2、スマートフォンユーザー数

これはスマホの数ですね、現在1.6億人がスマホ持っている計算です。2020年には 3.9億人、2030年には7.6億人になると予想されています。スマホは安い物だと1000円くらいからあります。むしろガラケーを探す方が難しいくらいで大手量販店にはスマホしか置いてありません。ただスマホを持ってるユーザーが全員インターネットのSIMを契約しているか?していたとしてもほとんどがプリペイドでのデータ購入なので、Wifi環境に行って何かをDLしたりすることが多いです。基本安いスマホは容量が少なくゲームをいくつもDLできない現状にあります。また日本のように通勤ラッシュ中に3Gや4Gがすんなり繋がるわけではありません。

3、モバイルサブスクライバー数

これはいくつSIMが使われているか?という数字です。2030年には14億サブスクライバーとなってます。インドは日本と違い、SIMの複数枚持ちは当たり前、プリペイド式などのは使い終わったらそのまま忘れて無くしてしまうこともあります。私でも現状3枚は持っていて、これまですでに2枚使わなくなったSIMがあるレベルです。間違っても14億人がアクティブなモバイルユーザーになるわけではないということの認識が必要です。

4、モバイルゲーマー数

SankeiBizに書かれているのはこれですね。インドのモバイルゲーマー数の予測値です。これに至っては、ゲーマーの定義が書かれていないので要注意です。一度でもゲームをダウンロードしたらゲーマーなのか?月に1度でもゲームをプレイしたらゲーマーなのか?一度でもゲームで課金したらゲーマーなのか?何も定義も根拠もないまま、市場が伸びるから、これくらいの人口がなんかゲームしてるだろう的なすごく曖昧な数字です。2030年には11億人がモバイルゲーマーとかもう貧困層のぞいたらインド人全員がモバイルゲーマーだ!みたいな、明らかに根拠のない数字をここまで出せるのが逆に素晴らしいです。

 

5、モバイルゲーム市場サイズ数

これもSankeiBizが引用しています。2022年にはモバイルゲーム市場は4億ドル(約460億円)規模になると。これは2015年時点で日本のモバイルゲーム市場が世界トップの9454億円であるのに対し、これから先6年で、インドの13億の人口とスマホ数で、日本の半分の市場まで追いつく可能性があると。これはかなり夢が溢れる数字です。現状の一人あたりのARPUの低さ、広告Impの安さを鑑みて、ここまでどうやって市場の数字を出せるのか逆に教えて欲しいです。

6、中国パブリッシャーがインドのゲーム市場を盛り上げる?

最近では中国の中国パブリッシャーの動きがインドで活発です。先日中国のパブリッシャー『Youzu』がインドローカルで動き出したのを始め、他の中国の大手パブリッシャーからも水面下での進出計画が続々と耳に入ってきます。ゲームに対して投資できる体制があるのに加え、大量のチャネルを保有しているので、クロスプロモーションも打ちやすいでしょうし、中国国内で培ったユーザー解析やカルチャライズの強さなどは、インドでも通用するでしょう。彼らのアグレッシブさをみていると、日本は彼らにコンテンツを預けて運用してもらったらいんじゃないかと思うレベルです。アニメやファッショントレンドやコンソールゲームは米国トレンドがインドに影響を及ぼすことが多いのですが、今後モバイルゲームに関しては中国トレンドの影響を受けることになりそうです。

 

 

7、まとめ

「インドは巨大市場だ!2030年には14億人もモバイルサブスクライバーがいるんだ!ゲーマーは11億人もいるんだ!」と産経新聞が書いたら多くの人は鵜呑みにしてしまうくらい、日本からインドの実際の様子は見えないものです。ですが、往々にしてインドの商工団体やゲーム協会が出しているゲームやIT関連の市場予想は大きく書きすぎていることが多いです。それは「中国がこれくらい伸びたんだから、私たちも伸びる」といった根拠のない根拠だったり、市場を活発に見せて企業誘致をするためだったりするのですが、実際に蓋を開けてみるとそこまで伸びないこともあります。なのでこれらの数字を期待していくと市場ができる前に体力に限界がきて撤退ということになりかねません。モバイルゲームに関しては、インド市場を狙う場合は、米国や中国のパブリッシャー(インドの一押しのパブリッシャーは今のとこ見つかっていません)などを使い、インドにターゲットを絞ってタイトルを出し数字をデータで追って日本からコントロールするのが現状一番の痛手のない方法だと思います。CPI、MAU、ARPUなどをちゃんと数字で追っていけばインドでウケるゲームなのかそうじゃないのかは数ヶ月運用すればわかると思います。

 

インドは伸びます。伸びるのは間違いないですが、伸びる速度や数字を理解することは市場を知る上でとても大事です。私もゲームを作ってますし、パブリッシャー業務を見ているので、インドには期待していますが、もう少し時間がかかりそうです。

 

ちょっと仕事の話でした。参考にまで。