インドネタまとめ

インドで日本のマンガが売れない10の理由


インドで日本のマンガやアニメ人気はどうなんですか?

という質問が多いのですが、コミコンインディアに2014年から毎年参加していて思うところをまとめてみました。

10、単行本はコレクションのため

インドは日本のように、とりあえずこのマンガの単行本買ってみようかな?というのほぼないです。流れ的にはアニメが好き→マンガも集めたい→買おう!という方向です。でもコレクションしたくなるまで作品にハマらせるって相当ハードルが高いです。マンガではないですが、ハリーポッターシリーズは結構な書店で見かけますが、これは完全に映画にハマってからのコレクションという流れになります。

 

9、インド国内で手に入らない

コミコンインディアなどのイベントではBizzMediaなどがマンガブースを出しています。言語は英語。でも一般の街の書店にはマンガは売られていません。ある程度の大きなモールや国際的な書籍を扱っている大きな書店でないと売られていません。私の友人の中にはシンガポールから通販で買ってる人もいます。

 

8、高価

もし、買いたい!と思ったとしても、値段が高い。インドは印刷代、紙代が安いので、現地のインドコミックは本当に安いんですよね。神様コミックなんか、フルカラー1o0ページで60Rs(約100円)以下でも売られていたりもします。日本のマンガは輸入しているケースが多く、どうしても価格が単行本一冊800円や900円となってしまいます。ペーパーブックで少しボリュームが増えているので、日本的感覚でいうと高くないのですが、インドで900円となると、Tシャツが買えてしまう値段なので、物価から考えると気軽に手が出る値段ではありません。

 

7、ネットで充分

ぶっちゃけマンガもネットで無料で見れます。私の友達の中には自分のお気に入りのマンガのページを綺麗にプリントアウトして部屋に貼ってる子もいます。

 

6、インドのコミックは左開き

日本のマンガは右開きの縦書き形式です。それに対してインドのコミックは左開き横書きです。そもそもマンガのスタイルが慣れ親しんでいないタイプなため、すぐに手にとってマンガを読み進められるわけでもないのです。そういう点においてはアメコミとインドは似たコミックスタイルです。

 

5、絵コンテ的

インドで長年読まれてきたコミックの描かれ方はすごく時系列で、主人公の一つ一つの動作や態度が全てコミックの中に描かれています。なので、読んでいて絵コンテ感あります。これは読み手が誰であってもストーリーや内容がわかりやすい、ローコンテクストな描かれ方と言えます。対して日本のマンガは読み手が自由にストーリーを読み込めるように、曖昧な表現が多かったり、いきなり次ページで時間が飛んでいたりと、読み手の解釈に寄るところが多いハイコンテクストな描かれ方なので、日本のマンガはインド人的には「え???いきなり何が起こったの?」ってなることもあります。

 

4、一巻で完結型しない

日本のマンガって、1ストーリーが何巻にも渡って描かれてますよね?だから何巻も買いたくなるんですけど、でもそうすると、途中から読みたいなって思っても読めないんですよね。インドで有名な神様コミック列伝にマハーバーラタとラーマヤーナから来ているコミックが多いのですが(おそらく200話以上あるのですが)どのコミックから読んでも理解できるようになっています。

一巻で完結しているので、どの巻を買ったとしても理解できますし楽しめます。スターウォーズも初期の映画を知ってればもっと楽しめるけど、知ってなくてもまぁ楽しめる。みたいな感じです。日本でいえば、手塚治虫著の『ブッダ』などは、海外では少年期、青年期、覚醒期などのように、一巻のボリュームを増やしてできるだけ数巻で完結するスタイルで海外でも売られています。(オリジナルは14巻)そういう再販の仕方はいいですよね。

 

3、コメディ要素

多くの日本の人はインドのコミックは色がはっきりしているから、日本の淡い色彩のマンガは受け入れられないんじゃないか?と思ってるかもしれませんが、私はそうは思いません。絵柄というよりは、コメディ要素が少ないんだと思います。ボリウッドを観てわかるように、大衆にウケるならコメディ要素がインドでは必要です。ワンパンマンは結構いい線まで来てました。神要素は鉄板ですが、そこに日本が踏み込めるかは謎です。
コミコン・インディアの運営会社に、ぶっちゃけコミコンでコミックが売れているのか?聞いてみたところ、一つだけ毎回完売するコミックがあるとのこと。それは『Cyanide & Happiness』というWebコミックで、インターネット上でよく見かけます。

4コマ、もしくは6コマ漫画でかなり皮肉の効いたコメディ要素の多いWebコミックです。複数作家のチームなのですが、下記写真左のTシャツの作家さんはインドで超人気で、コミックは持って来ればくるだけ売れるので、インドで印刷して売り始めたと聞きました。6コマの寄せ集めコミック100ページ(フルカラー・ハードカバー)で500Rs(約850円)ほどなので、決して安くはありませんが、毎回足りないほど売れるといいます。これはコンテンツが地上波やメインストリームになってなくても、ある程度Webで成功すれば知名度が挙げられるという実例かもしれません。ただインドだけで100万冊とかを売っているベストセラーなわけではないので成功とは言えないかもしれませんが、コンテンツを普及する方法としてWebの力が高まってきているのはインドといえど、例外ではないという話です。

2、アメリカコンテンツの強さ

やはり、TVでアメリカの映画やドラマが流れてることも多く、アメリカコンテンツの存在は大きいです。映画も大々的にプロモーションしていますし、屋外広告も多いので、映画を見たことがなくてもアメコミのスーパーヒーローを知っている人は多いです。『アナと雪の女王』を見たことがない女の子もエルザのスクールバックを持ってたりします。スパイダーマンもインド版コミックを出していますし、ディズニーの『ジャングルブック』もインド先行上映を行ったりしています。市場への本気度が違うのでこの辺は日本は押されて当たり前なのですが。前提としてアメリカは、”マンガはあくまで映画やおもちゃのプロモーション促進の一つであって、コミック単体でがっつり稼ごうとしているわけではない” というのも日本との大きな違いです。

1、日本の古い出版業界体制

作家と出版社の出版地域の契約が曖昧、デジタル化の契約が曖昧。また翻訳した際の英語版の権利はどこに帰属するのか?回収できるかもわからないのに高い翻訳費を捻出できない。マンガは出版社なんだけど、アニメは委員会方式で作っていて各会社に合意を取るのが面倒で、どっちも話が進まない。マンガやアニメが流行った先でどう海外でビジネスにするかクリアなビジョンがない。どの海外のライセンシーに任せていいかわからない。という感じでクリアすべきことが山盛りなんだと思います。オリンピック向けてここら辺の海外ライセンス事情も整理してもらえたら助かります。


 

最後に

日本のマンガやアニメはインドで売れないわけじゃないんです。ただローカライズすれば売れるわけじゃなくて、カルチャライズする必要があるという話です。そこを日本の企業はちょっとローカライズして北米に出してダメだったら、「あぁ海外ダメだった」でプロジェクト終了。そこで思考が停止してしまっているように見えます。本当にやるべきことは、その国に強いカルチャライズができるパブリッシャーに任せて各国毎にうまくやっていくことが大切なんだと思います。その時にインターネットでのプロモーションは完全にマストですし、なんかぼんやり「コレ流行ってるよね!」とかではなくてデータをちゃんと解析して、数字でビジネスを追っていくことも肝心です。

 

 

日本にはたくさん良いコンテンツがあるし、海外でも通用するレベルのものも多いので、ちゃんと資産運用していただきたい。そう思うのです。

*文章に挿入されている画像はクリックすると画像引用元サイトに飛びます

 

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